変化が激しく、将来が見通せない今の時代に必要なのは「貯金すること」ではなく、「投資家マインド」で生きることである!
書籍「投資家みたいに生きろ」には、生き方として、働き方として、投資家マインドの持ち方が書かれています。
投資家みたいに生きろ 将来の不安を打ち破る人生戦略
ファンドマネージャー・投資家である藤野英人さんが書かれた本ですが、資産運用の話はほとんどありません。
自分という最も大切な資産(資本)を高めることで、さらなる資産を生むという、今の時代を生き抜く必須のマインドです。
私の感想を交えながら、一部を紹介したいと思います。
稼ぐ人・出世する人が持っている投資家マインドとは?
藤野さんは、投資は「エネルギーを投入して、未来からお返しをいただくこと(行為)」と定義しています。
エネルギーとは自分で主体的に決断し、お金や時間を投入することです。
例えば株式投資の場合、時間をかけて将来性のある企業を調査し、投資する決断をして資金を投入。成長したときに株価上昇や配当として「お返し」を得ることができます。
ビジネスを営むときにも、この考え方が当てはまります。
未来に向けた決断をして、お金や時間を投入して、人材価値やサービスの質を高めるとさらなる「お返し」が得られます。
投資の種類は、いくつかあります。
- 設備投資
生産能力向上や効率化のための店舗や機械などへの投資 - 自己投資
自分のスキルや知識を得るための投資 - 教育投資
後輩などの教育により、チーム力を高めるための投資 - 社会投資
寄付やボランティアなど社会を良くするための投資
購入した設備は「有形資産」、人のスキルや健康などは「無形資産」とも言います。
つまり「投資」とは、有形資産を購入して生産性を向上する”仕組み”を作るか、時間を掛けて無形資産の価値を高めるか、基本的にはこのどちらかです。
また、寄付やボランティアのような社会投資も、自分を含む社会に還元されます。意義のあることとして、日本人がもっと持つべき考え方だと、藤野さんは述べています。
投資家マインドに切り替えられない3つのバイアス
自分のやりたいことを決めて、時間やお金を投入できるか?
多くの人が、「投資家マインド」に切り替えられない理由として、次の3つの理由があるといいます。
- 「リスクはゼロになる」という思い込みがある
- 「貯金は善、投資は悪」という思い込みがある
- 「給料は我慢料である」という思い込みがある
一般的にリスクは「危険」と訳されます。人は好んで「危険」は冒したくないものです。
しかし、リスクは「危険」と捉えるのではなく、「不確実性」が正しいと言います。将来の「不確実性」はゼロにならないため、変化が起こることを知りつつも動かない(動けない)こと、変わらないことの方がむしろ危険な状態です。
2点目にあるとおり、真面目な日本人が得意とするのが「貯金」です。「投資」にはギャンブルというネガティブなイメージが付きまといます。
しかし、「自己投資」も投資の一つであることは忘れてはいけません。現代は社会変化が激しいので、個人のスキル(無形資産)が上がらない場合、急激に市場価値が低下する可能性があります。
今後、右肩上がりの給料が保証される訳ではないですし、社会保障や税金が上昇傾向にあります。給料はスキル(無形資産)と連動して上下していく企業が増えるため、「貯金」が賢明かどうかは疑問符がつきます。
もちろん「浪費」するくらいであれば、ひたすら「貯金」の方が良いでしょう。
しかし、「貯金」だけでスキルアップを怠ると、そのスキル(無形資産)の価値は減っていきます。結果として、積極的に「投資」する人との間には、埋めがたいスキル・資産の差が生まれてしまいます。
3点目の「給料は我慢料」という思考は、自分のやりたいことを主体的にやっておらず、スキルを伸ばそうという意欲につながっていない状態です。
多くの時間を無駄なエネルギーで使っているだけなので、経営理念に賛同できないなら、転職すべきというのが、藤野さんの明快な主張です。
常にその行為が「浪費」か「投資」かを考える
藤野さんは、「投資家マインド」を身につけるために、すべての行為の前に、「これって投資? それとも浪費?」と自問自答することを勧めています。
例えば、毎日Youtubeを見てオモシロ動画を見てしまう習慣があったとします。あっという間に何時間も経って、本来やりたいことができなかったら浪費です。
しかし、もし動画の作り方を学んで、実際に動画チャンネルを立ち上げたいと思っているのならば、時間の投資と考えることができます。
コンビニで新発売のスナック菓子を買う、上司と飲みに行く、自分の趣味に時間を使うなど、様々なシーンで考える習慣を付けること自体が「投資家マインド」だと言っても良いでしょう。
この本の半分が、投資家マインドを身につけるための習慣で、毎日の習慣や、人脈の作り方など様々なヒントが書かれています。個人的には8割程度のスキル獲得達成をめざす「八ヶ岳戦法」が面白いと思いました。
キャリアプランを考える若い人も、今の会社で価値を高めようとするミドル世代の方も、シャキッとする感覚が得られる本だと思います。
▶︎投資家みたいに生きろ 将来の不安を打ち破る人生戦略