「ぶっちゃけ出世するリーダーはどんなタイプのリーダーなのか?」
組織によって風土や文化もあるし、上司との関係性次第で決まる部分もあるので、明快に答えを出すのは難しいでしょう。
では、次のような質問はどうでしょうか。
「チーム力を高め、成功に導くリーダーは、どんなタイプのリーダーなのか?」
これに関して言えば、近づく方法があります。
「サーバントリーダーシップ」を理解し実践することです。
サーバント?
Servantでググると「召使い」「使用人」という訳が出てきます。
ということは、メンバーの下について指示に従うようなリーダー?
……リーダーという言葉に相容れない感じもしますね。
サーバントリーダーシップは、1970年に同名の書籍により知られるようになったリーダー像で、きちんと理解すれば、チームの成果を高め、メンバーの信頼を勝ち取る強い力を持っています。
この「サーバントリーダーシップ」についてみていくことにします。
サーバントリーダーシップとは
サーバントリーダーシップは、今から50年前にアメリカのロバート・K・グリンリーフが提唱し、チームメンバーに対する「奉仕」をリーダーの本質として捉えたリーダー像です。
サーバント(Servant)の意味の中でも近いのは「召使い・使用人」ではなく「奉仕」。
チームに対して、リーダーとしてミッションは共有するものの、そのミッションを自ら先導するのではなく、チームメンバーに委任して後方支援します。
このことからも「委任型リーダーシップ」とも「支援型リーダーシップ」とも言われるようです(私は「委任型」の方がしっくりきます)。
イメージにするとこんな感じです。
従来のリーダー像は、率先垂範でメンバーに指示を出すような力強さ・頼もしさがある一方で、サーバントリーダーシップは任せて後方支援。少し頼りない印象があるかもしれません。
しかし、リーダーが脇役に徹し、チームの成功はメンバーの力にあると信じて任せることで、一人ひとりのモチベーション、チームの協調性が生まれます。
メンバーの声に耳を傾けながら、最後に”成功させる”ことができれば、一人ひとりに自己効力感がうまれ、さらにはリーダー自身の信頼を高めます。
このように恐ろしいほどの効果を持つのが、サーバントリーダーシップなのです。
サーバントリーダーシップは、成熟したリーダーのスタイルである
リーダーシップのスタイルには、大きく従来の「先導・指示型」「指導・コーチ型」、そして「支援・委任型(=サーバントリーダーシップ)」の3つに分けられます。これは部下の育成の型とも言うことができます。
かつての日本海軍連合艦隊司令長官・山本五十六の有名な言葉、
「言ってみて、やって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」
に合わせてみると分かりやすいと思います。
言ってみて : 先導・指示型
やって聞かせて : 指導・コーチ型
させてみて(褒める): 支援・委任型(サーバントリーダーシップ)
つまり、サーバントリーダーシップは、最も成熟したスタイルと言えます。
サーバントリーダーシップを取ることは、次のリーダーを育てることで「仕組みづくり」をしています。
逆に、いつまでも同じメンバーに、指示するスタイルを取っているということは、育成を行わず、仕組み作りをしていないことになります。
ただし、新人など未熟なメンバーの集まりであれば、いきなり成熟したスタイルを取ってもうまく機能しません。
リーダーシップのスタイルはどれが合うか・良いかの一択ではなく、状況に合わせて使い分ける必要があります。
最終的にめざすところがサーバントリーダーです。
「できる人」はサーバントリーダーに抵抗を感じやすい理由
技術力が高く、一人で何でも仕事ができてしまう人は、サーバントリーダーになれず、個人としては高い成果を出すものの、チームリーダーとして高い成果を出せない場合があります。
それは次のような思考・プライドがある(傾向がある)からです。
- 自分がやった方が早いし、うまくいく。認められる。
- 誰かに任せてトラブルが起こったら、自分が埋め合わせをさせられる。
- メンバーは悪い人ではないけれど、仕事を任せるほど信頼できていない。
自分一人で2倍、3倍の仕事をできてしまい、大量の仕事が集まるタイプ。
上司からも一目置かれます。でもチームとしての成長・結束がないので、ずっと同じ状況が続きます。
サーバントリーダーになるには、どこかで成功の手柄を取らせる「懐の広さ」と、誰かに任せたときに発生した問題に責任を負う「覚悟」を持たねばなりません。
以上、サーバントリーダーシップについてまとめました。
サーバントリーダーシップは、50年前に発表された概念でありながら、いまだに強く生きています。それだけ素晴らしいものだと言えます。
他のリーダーを引き上げ、仕組みをつくるサーバントリーダーシップ。
こういったリーダーが出世している組織は、成長力の強い組織と言えるでしょう。