「人生100年時代において、終身雇用を前提とした直線的な(一本道の)働き方・キャリアでは、生き抜くことができない。」
この点については、すでに多くの書籍で語られており、経産省・経団連といった国としてもこのトーンで発信するようになってきました。
では、実際にどのようなタイプが生き残れるのか?
書籍「ニュータイプの時代」には、時代に取り残される古い働き方・考え方と、新しい働き方・考え方を比較して、ニュータイプとして生き抜くヒントがまとめられています。
ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式
自分はどちらのタイプなのか? その現在地を知ることができます。
残念ながら、私は”オールドタイプ”に該当する項目がいくつかあることが判明。
つまり、価値が落ちていく要素を含む人間だと認識させられました。
いや、ぶっちゃけた話、「何となくわかっていたことを、ハッキリ言ってもらえた」スッキリ感のほうが強いかもしれません。
オールドタイプと、ニュータイプの違いとは何でしょうか?
著者・山口周さんの見解を見ていきたいと思います。
オールドタイプとニュータイプの違いとは?
山口さんは、「はじめに」でオールドタイプとニュータイプの違いを例示しています。
【OLD】正解を探す → 【NEW】問題を探す
【OLD】予測する → 【NEW】構想する
【OLD】KPIで管理する → 【NEW】意味を与える
【OLD】生産性を上げる → 【NEW】遊びを盛り込む
【OLD】ルールに従う → 【NEW】自らの道徳観に従う
【OLD】一つの組織に留まる → 【NEW】組織間を越境する
【OLD】綿密に計画し実行する → 【NEW】とりあえず試す
【OLD】奪い、独占する → 【NEW】与え、共有する
【OLD】経験に頼る → 【NEW】学習能力に頼る
いかがでしょうか? ニュータイプとして生きていますか?
まだまだ多くの企業は、オールドタイプの理念で動いているところは多いと思いますし、個人としても全部とは言わなくても、一部オールドタイプで考えている方は多いと思います。
この本の帯には、山口さんの写真と「正解を出す力に問題はない」と書かれています。
世の中には、ロジカルシンキングを中心とした「正解を探す(課題解決)」ツールや手法がたくさん存在し、私のブログでも、できるだけわかりやすくその手法を紹介しています。
しかし、物質的な豊かさが手に入り、目の前に突きつけられる問題が次々と解決されていった現在、コンサルが持つ「与えられた問題を解く力」という標準スキルの価値は逓減していくと言います。
一方で、見えていない問題を表出化させて、とりあえず試しながら、解決に向かっていく人の価値が高まっていきます。
以前紹介したピーター・ティール氏の書籍では、誰もが疑うことのなかった「隠れた真実」を見つけることが大事だと述べており、これも「問題を探す」能力の一つだと言えるでしょう。
また、これは余談ですが、先日、ABEMAのネット番組を観ていたら、水道いらずのシャワーを開発したベンチャーが紹介されていました。
被災地で「どうしようもなかった」で済まされていた問題を顕在化させて、実行に移す事例です。素晴らしすぎてうまく言葉にできませんが、本当にすごいと思います。感動しました。
「役に立つ」よりも「意味がある」に高い価値がある時代に
「役に立つ」こと時代、価値があります。
一方で、物が溢れ、テクノロジーが発達した昨今、役に立たなくても「(独自の)意味がある」ものは、より高い価値を認めてもらえる時代になりました。
役に立つ・立たない、意味がある・ないのマトリックスで考えたときに、例えば自動車販売だと次の関係が生まれるといいます。
- 役に立つ/意味がない:国産乗用車
移動・運搬で役に立つが、車種には強いこだわりがない(コスパ重視) - 役に立つ/意味がある:BMW
移動・運搬で使えるし、ステータスがある - 役に立たない/意味がある:フェラーリ
基本的には趣味・娯楽用で運搬には不向き。突き抜けたカッコよさがある
役に立つ/意味がない製品は、競争が激化し、結果として独占状態になることが想定されます(一位を除いて負け組)。他方、ニッチなものでも嗜好性が高いものはフェラーリのように高い価値と見なされます。こちらは独占ではなく、多様性の世界です。
今はインターネット全盛。ニッチなものでも国内だけでなく、グローバルに薄く広く展開し、利益を得ることができるようになったと言います。
これは個人のスキルでも当てはめられます。
仮にニッチな技術や趣味であっても、Youtube等で広く展開できるようになりました。一見役に立たないと思えるものでも、そこに意味を見出す人が見つけ、広がりを見せたり、一気に爆発的に盛り上がる可能性も出てきます。
これがまさに、ニュータイプ流の生き方です。
ビジネスや個人のキャリアにおけるニュータイプ戦略
「役に立つ」分野では独占が進み、「意味がある」分野では多様化が進む。
つまり両極端の世界になっていきます。
これにどう対応していくか。
両極端の世界には、両極端で対応する「バーベル戦略」が重要になると言います。
企業では、既存事業を「選択と集中」で絞り込み、新しいものは積極的に試し「うまくいったものを残す」戦略を取るべき。
ただし、組織・制度が対応していないので、「両利きの経営」ができる仕組みに会社自体が変革していくことが求められそうです。
個人においても単一的なスキルにはリスクが伴います。
今後伸びる会社・部署に身を置くことや、複数事業(副業など)を営むか、そのような状況でないときは、エグジット(いわゆる退職・転職)することも選択肢だと言います。
変化が当たり前となる時代、身についた経験は捨ててでも新しい学びを取りに行くことが大事になってきます。
同書には、リベラルアーツの重要性についても、ニュータイプには必要になってくることがまとめられています。…が長くなるので、この記事では割愛させていただきます。
長年の滅私奉公の精神で、今のポジションに到達した中高齢世代には厳しい現実が突きつけられます。もう長年の経験でドヤれもしなければ、身分の保証もありません。いよいよ覚悟が必要です。
参考記事
「企業における変革(CX)」と「両利きの経営」は、以下の記事にまとめました。
個人が独自の世界を築くために参考になる「ビジョン思考」は以下の記事にまとめました。