働き方&仕事観

コロナウィルス禍で改めて見直される「成果主義」とは?

投稿日:2020年5月11日 更新日:

コロナウィルス禍において景気後退フェーズに入ると、多くの企業で「成果主義」が再評価・見直される可能性があると見ています。

「成果主義」とは、その名のとおり「仕事の成果」によって従業員が評価され、昇進・昇給が決まっていくというものです。
旧来の終身雇用を前提とした「年功序列制度」とは異なり、長年奉公してきた中高年社員の賃金は下がる一方、若手社員が評価され、抜擢される傾向があります。

超高齢化社会における日本企業の生き残り戦略や、ウィルスによる経済ダメージの流れから考えるに、この流れが加速されるのは必然だと思っています。

とは言っても自分の身は自分で守らなければなりません。
今回は、成果主義がどのように導入され、どう準備していけばよいかについて、まとめていきたいと思います。


そもそも成果主義とは?

改めて成果主義とは何かというと、業務の結果(売上や顧客満足度向上)に対する貢献度や個人の能力で、その人を評価していくというものです。

米国企業では厳格な成果主義をとる企業が多く、成果を出した従業員には多額の給料が支払われ、そうでない者は薄給。ある日突然、荷物を抱えて会社を追い出されるなんてことがザラにあります。

「和をもって尊しとなす」日本人の文化と精神性には、「成果主義」は合わないのでは?と言われていました。
しかし、労働者の高齢化に歯止めが掛からず、今の賃金体系を維持できなくなってきています。一方で若手社員は人手不足。優秀な若手を何とかつなぎとめる必要性も生じてきました。

このような背景から、いよいよ日本でも、成果主義を導入せざるを得ない状況に来ています。

かつてバブル崩壊期に富士通が導入したことで話題になりました。
「成果主義」は正しく人を評価する方式である一方で、不況下において、中高齢者のコスト削減・リストラに使えるシステムでもあるのです。


デジタルトランスメーション(DX)で成果主義への動きはますます加速

さらにコロナウィルス発生によるIT技術の導入が、この動きを加速させます。 オフィスワーク中心の企業だけではなく、サービス業でもリモートワークへの切り替えが行われています。

リモートワークになると、逐一上司が部下の仕事ぶりをチェックするのではなく、能力と成果がフォーカスされます。
これは同時に「部下の監視」を生業としてきた管理職が何をするか、存在価値も問われるようになります。

デジタル化の一貫で、キーボードやマウスの操作履歴や、カメラによる監視ツールを導入する企業もあるようですが、アレに何の意味があるのか、私にはさっぱりわかりません。


成果主義のメリットとデメリット

成果主義にはどのようなメリットがあるのか整理してみたいと思います。

  • やる気ある社員のモチベーション向上
  • 優秀な若手社員の確保
  • コスト(人件費)の削減

経験年数に関係なく公平に評価が行われるので、「働かないおじさん」の存在にモヤモヤしてきた若手社員のやる気は高まります。
これまで高止まりにあった中高年社員の賃金を抑える口実になり、企業の体力維持にもつながります。

では、デメリットもみていきましょう。

  • 個人主義の台頭、チームワークの低下
  • 適正な評価が行われないことによる不信感
  • 総じて、上司・部下、同僚同士の関係性悪化

これまでの評価とは大きく異なるため、中高齢層のモチベーションが一気に低下する可能性があります。
厄介なのは、中高年は比率が高い上に無駄にプライドが高い。世代間対立を煽ったり、助け合わない風土になるリスクがあります。

日本の場合、いきなり「成果主義」にシフトするのではなく、経験年数を考慮しつつも、成果にウェイトを置いていく段階的導入が進められるように思います。


成果主義に向けた対策① 成果主義の仕組みを理解しておく

色々課題はあるものの、成果主義が導入される流れは必然だと思います。
成果主義が導入されていないとしても、今から成果主義をイメージして働いておけば、考え方が受け入れやすくなります。

具体的には、数値目標や行動に関する評価指標(KPIやMBOなど)の考え方を知ること。
あとは目標達成に向けて、効果が大きいところに力を入れて、そうでないところは力を抜くという「選択と集中」も大事です。
成果から考えて、やることを細分化する「逆算思考」を身につけると、より成果への道筋がハッキリしてくるように思います。


成果主義に向けた対策② スキルの棚卸、広く通用するスキルの獲得

もはや同じ企業で生涯を終えることはないと考え、成果主義に関係なく、自分のスキルを棚卸しておくこと。
併せて今後も広く通用するスキルを獲得していくことが大切です。

若い人なら営業、技術など専門性の高いスキル、中高年であれば、加えてマネジメントスキルやコミュニケーションスキルも、経験と合わせて証明できれば「他社で通用するスキル」になり得ます。

そういったものが一切ない、働かない(無気力)オジさんは、いよいよ炙り出されてしまい、そのまま火破りの刑ですね。。

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