マーケティング

「無敗営業」:”勝てるセールス”のノウハウが凝縮された必読の一冊

投稿日:2020年8月5日 更新日:


「なぜウチの製品・サービスは、選ばれないのか?」
「いつも競合との価格勝負になって苦しいんだよな……」

という疑問やお悩みを抱えている方。それは製品やサービス、対競合に勝つための販売戦略が悪いのではなく、営業活動のやり方に問題があるのかもしれません。
営業担当者や、営業に同行される現場の方、一度「無敗営業」を読んでみてください。



無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」


この本は、営業担当としてコンペで8年間無敗だった著者(高橋浩一さん)が、勝てるノウハウを惜しみなく公開した一冊です。
高橋さん曰く、「営業の思考と、お客さまの期待には大きなギャップがある」ことが問題で、そのギャップを埋める考え方や行動が「無敗営業」にまとめられています。

お客さまの本音を探るアンケート結果や、経験を元にした「勝てる営業ノウハウ」が詳細かつ丁寧に書かれています。
正直「これ1,600円でいいの?」という内容です。情報商材として10万20万として売っても買い手がつき、満足してもらえる内容だと思います。

今回は、この「無敗営業」から、以下の目次にある内容を紹介したいと思います。


営業とお客さまの間には、大きなギャップ(ズレ)がある


営業が考える戦略やセオリーと、お客さまが期待することには大きなズレがあり、そのこと自体を知ることが”勝てるセールス”の第一歩です。

特に著者の高橋さんは、安易に価格勝負に出ることに対し、疑問を投げかけています。
もちろん、お客さまには「少しでも安く買いたい」という気持ちもあるし、営業をやっていれば、直接「価格、高いですね」という言葉を投げかけられることはあるかと思います。

しかし、高橋さんの会社で実施したアンケート結果によると、「とにかく安い」を求めるお客さまはそれほど多くなく、一方で「費用対効果の納得感」が重要と考えているお客さまが圧倒的に多いことがわかります。

「安さ」と「費用対効果の納得感」の違いは何でしょうか?

「費用対効果の納得感」とは、つまり競合と横並びで比較したときに、より大きな価値があると思ったものであれば、多少高くても買うということです。
お客さまの期待を「安さ」と安易に設定してしまい、お客さまの「悩み」や「課題」に寄り添った価値を訴求できていないことがあります。
失注したときの問題分析でも、「価格で負けたから仕方がない」という分析は本当に正しいか、しっかり見定めることが大事です。

冒頭に書かれている著者自身の引越し時のエピソードが、とても象徴的です。

高橋さんは引越しの一括見積もりを出したあと、3社の営業担当が訪問してきたそうです。
1社目・2社目はスーツを着た営業が、その場で素早く安い見積もりを提示。
3社目は作業着を着た者が訪問。他社の状況と、今後の予定を聞き、最後の訪問者であることを確認します。
他社の状況を押さえた後に、「家の中に上がらせていただけないか」確認を取り、生活スタイルや家具の使い方をヒアリングしながら最適な梱包方法や、著者の忙しさを考慮した対応について提案をしたそうです。

見積金額は最も高かったにも関わらず、高橋さんは早い段階で3社目の業者に決めています。価格ではなく、価値があると思ったから高値でも構わないと決めています。
3社目の営業担当に話を聞いた結果、実際に「勝率が高い営業」だったそうです。


営業力が磨かれる「接戦」案件と、その戦い方

営業案件には「楽勝」「接戦」「惨敗」案件の3種類があります。
これは、おそらく営業をやっている方なら、感覚的にわかっていると思います

高橋さんは、多くの営業は「楽勝」案件で勝つことに注力しており、「接戦」案件を避けていることを問題として指摘しています。
「接戦」案件で勝つことでお客さまの信頼を獲得し、「楽勝」案件にすることこそが、営業の重要な役割であり、その経験を通じてスキルが磨かれると述べています。

「接戦」案件は、「お客さまが迷っている状態」であり、競合との争いだけではありません。大きく3つに分類できます。

  • どの会社に発注するか(競合との比較)
  • 今やる必要があるか、先送りにするか
  • 内製するか、発注するか

どのケースでも、お客さまが依頼したいけど、すぐに依頼できない理由・迷っている理由があります。このような自己矛盾に近い状態を心理学用語で「認知的不協和」と言います。

認知的不協和を打破するには、「質問」によりお客さまがどの状態に陥っているかを探り、お客さまの迷いの解消につながる「情報の追加」をしていきます。
できる営業は、状況に応じた「質問」と「情報の追加」をしながら間合いを詰めて、予算、競合、スケジュールなど必要事項を抜け漏れなく確認しておく流れにもっていきます。


ハイパフォーマー営業になる「4つの力」とは?


ここまで見てきたとおり、お客さまとの認識のズレを理解した上で、実際にどのようなことで迷っているかを「お客さま視点」で引き出すことが大事です。
この点を含めて、ハイパフォーマー営業になるには、次の「4つの力」を鍛えることが重要です。

  • 質問力
    質問することでお客さまの要求を正しく把握し、深堀りする能力
  • 価値訴求力
    お客さまに必要な情報提供で安心・信頼させる営業としての魅力
  • 提案ロジック構築力
    お客さま視点で、通せる提案にするまでの提案シナリオ作成力
  • 提案行動力
    お客さまの行動を想定し、不安を解消しながら、クロージングに導く行動力

「無敗営業」では、それぞれ章立てにして、力の付け方や、発揮の仕方、失敗パターンまで克明に説明されています。
すべてに、お客さまの状況や、担当者・決裁者の行動・思考を引き出し、他社よりも信頼と納得感を得ることにつながっていきます。意識的に(ある意味無意識に)4つの力が発揮できることが「無敗営業」の真髄なのだと思います。

繰り返しになりますが、この本は、本当に1,600円で良いのでしょうか。それだけの価値がある一冊です。


▶︎無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

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