これまで国語の授業や論文の指導で「ストーリーは起承転結で考えなさい」という説明を受けた人は多いと思います。
でも、ぶっちゃけ「起承転結」って理解してました?
私はずーっと理解できていませんでした。特に「承」はいつまでも理解できず、ライターとして仕事をしていく中でようやく理解できました。
この「起承転結」についてわかりやすく説明できないか、Wikipediaで調べました。また、文章に関する書籍にあたってみましたが、わかったようでわからない……。
今回は、「起承転結」について調べた経緯をまとめます。
その後に、私なりに「起承転結とは何か」「承とは一体何者なのか?」について、日本一わかりやすく説明することに挑戦したいと思います。
前半はグダグダ書いたので、てっとり早く知りたい人は「普通のライターによる「起承転結」とは」から読んでください。
Wikipedia(学者)の説明における「起承転結」とは
一般的な起承転結を理解するために、まずはWikipediaの説明に当たることにしました(Wikipediaが信頼できるかどうかはさておき)。
以下、国語学者による説明だそうです。
起:事実や出来事を述べる。
承:『起』で述べたことに関することを述べる。解説したり、それによって起こる問題点を述べたり、感想、意見を述べたりする。
転:『起承』とは関係のない別のことがらを持ち出す。
結:全体を関連づけてしめくくる。
どうでしょうか? 私はモヤモヤしました。
承にある、「起」で述べたことに関すること…って何?
転では「関係のない話をせよ」って読み取れます。これでストーリーは流れるのでしょうか。
ただ、起承転結を説明するときに持ち出される、江戸の歴史家・詩人である頼山陽の俗謡と合わせると、なんとなく意味がわかります。
京都三条 糸屋の娘 (起)事実としての場所と人物
姉は十六 妹は十四 (承)人物に関する解説
諸国大名は弓矢で殺す (転)関係のない別のことがら
糸屋の娘は目で殺す (結)しめくくる、というかオチ
確かに、突如、諸国大名という関係のない話が入ってますね。
では、この理解をもとに、「同じように、起承転結でストーリーを考えてください」と言われて考えられるでしょうか?
私は無理だと思いました。
元D通コピーライターによる「起承転結」とは
学者ではなく、もう少し最近の例で、わかりやすく説明している人がいないか探してみたところ、見つけました。
書籍「読みたいことを、書けばいい。」
元コピーライターが書いた本で、書店ではいつも平積み。
かなり売れていたと思います。本の中に、こんな節がありました。
「起承転結」でいい
おお!まさに、探していたようなタイトル。
起承転結に対するモヤモヤ解消の期待大です。
実際に、著者がツイッターで「台湾」の表記についてコメントしたことを、 下記のように分解し、解説しています。
起:実際の経験だという前置き
承:具体的になにがあったか
転:その意味はなにか。テーゼ化
結:感想と提言。ちょっとだけ
経験に対する具体的な出来事までが「起承」で、出来事から得た意味が「転」で、感想や提言が「結」。
……うーん。「転」は転がった感がなく、意味ですか。結論っぽい感じもしますね。そもそも「テーゼ」って何でしたっけ?
いずれにせよ、 学者の話とはちょっと違いますね。
もう少し、説明があるのでみていきましょう。
つまり起承転結とは、
①発見
②帰納
③演繹
④詠嘆
というコード進行で記述されるのである。
……むむむむむ。たぶん私の知識不足なんでしょうね。
帰納と演繹が出るたびに、ネット検索しなければならない地頭の悪さ。
「詠嘆」!? 「感想と提言」と言った後の「つまり」の説明としては、若干、解釈変わりませんかね?
ちなみに、この本自体は、ライターの心得や自分なりの哲学みたいなものをまとており、”斜め上から”目線の文章はまぁ面白い。
でも、文章の行間・レトリック(比喩)に見え隠れする「俺すごいぜ自慢」の除去作業と、その本の中にある矛盾と、要点整理にすこぶる時間が掛かります。
まぁ著者曰く「何よりも自分のために書かれた本」だと言いますし、読み手の”価値”以上に、爆売れさせた著者の”勝ち”につながったということで。
他にも調べてわかったことは、多くの人が「起承転結」という”最終定理”に取り組み、自分なりの解法を編み出していたということ。
ということで私の独自の解釈もありですね。
前置き長くなりましたが、いってみましょう。
普通のライターによる「起承転結」とは
私の場合は、ストーリー性を意識して次のような解釈をしています。
起:登場人物の紹介、取り扱う出来事・事件の発生
承:出来事・事件の解決に向けたストーリーの展開
転:ひっくり返るほどのトラブル・困難
結:解決しハッピーエンド(時にバッドエンド)、オチ
学術論文や、ビジネス文書・プレゼン向けの言葉にしてみましょう。
起:自己紹介とテーマ紹介、問題・課題提起
承:課題解決に向けての過程、仮説と検証
転:過程において生じた問題・反論
結:その対策と得られた結論、まとめ
大筋をざっくり言うと、課題があって解決に向かいます。
でも、何事もなく解決してしまうと面白味に欠けるし、引っ掛かりがなさ過ぎて、逆に「それ本当かよ」ってなる。だから「転」を入れないと面白くないし、納得感もないという考え方です。
もう少し感覚的に掴むために、起承転結が読み手・聞き手に与える「感情の起伏」と合わせてビジュアルにしてみましょう。
最初は問題となる出来事が起きて興味を引きます。
そこからいったん落ち着いて、解決に向かって動き出します。
この過程が「承」なんです。
いい感じに「結」に来ると思いきや、「転」の入り口となる大きな壁が立ちはだかる。
ここがクライマックスで、感情の山を一気に登ります。
登り切ったら最後はエンディングに向けて、ゆっくりと落ち着きます。
バッドエンドの時は、最後の下りカーブがバツっと切られるか、もう一度ギュッと上げてくる感じですかね。
「起承転結」という言葉を意識しなくても、ストーリー後半にある”感情の起伏”を意識できていれば、自然と「起承転結」に近づきますね。
「起承転結」はビジネスでも使えるか
「でも、ビジネスなんかだと、感情の起伏とか要らないのでは?」
確かにごもっともかと思います。
ただ、例えばプレゼンで良いことばっかり淡々と説明されても退屈です。
あえて泥臭く、人間臭い失敗談や苦労話を入れながら、聞き手の共感を引き出すテクニックを入れても良いのではないでしょうか。
悪い点があっても、それを利用して感情をコントロールできれば、良いことづくめ以上に、好感度高く持っていくこともできます。
もちろんTPOや会社の文化次第ってところはあるけれど、そんなに長くならなければ良いかと思います。
「起承転結」、奥が深いですね。
実際、ストーリーでどのように使われているのか。
ちょっと長くなってきたので、また改めて解説したいと思います(下記)。