コロナウィルスによる経済への影響は大きく、すでに飲食などのサービス業では直撃。
収入・消費の落ち込みはさらに経済全体へ大きな打撃を与えるものと予想されます。
まず、我々が必要だと考えるのはお金。
政府からの支援金は出るものの、おそらく繰り返し支給されるわけではないでしょう。
また、預貯金や不動産などの(金融)資産が豊富にある人は一握りです。仮に少し金融資産があったとしても、いつまでも自分の収入源となる事業・会社が安泰とは限りません。
このような状況の中、コロナ収束後に向けてすべきことは何か。
少し自分の時間が持てるなら、今は一人ひとりが持っている「無形資産」を蓄え、育てていかなければならないと考えています。
無形資産とは、文字どおり個人がもつスキルや人脈といった「形のない資産」のことです。つまり自分自身を磨き、価値を高めることに他なりません。
直接労働して報酬を受け取る訳ではないので遠回りのように思えますが、高めた価値はお金を生み出します。
「無形資産」には色々な定義があるようです。
ここでは著書「LIFE SHIFT」をもとに、無形資産とは何か、変化に対応するため何を学ぶべきかをまとめていきます。
無形資産とは?
改めて、無形資産とは何か。
個人がもつ高度なスキルと知識、友人・家族、そして健康といった目に見えない関係といったものです。
著書「LIFE SHIFT」では、無形資産をさらに三つの資産に分類しています。
- 生産性資産:スキルや知識、仲間の存在、評判
- 活力資産:肉体的・精神的な健康
- 変身資産:次のステージに向かう能力・意思と人的ネットワーク
「変身資産」というのがちょっと興味深いですね。
もう終身雇用はオワコンで、あらゆる職業を渡って生きていく「マルチステージ」が当たり前という著者の主張にもとづき、「変身」が重要な資産の一つとして掲げられています。
「LIFE SHIFT」では、「お金に換算できない価値」として無形資産が紹介されていますが、無形資産はスキルや信用なので、高めると価値が生まれ換金できるようになります。
実際、無形資産を数値化しようとするアプリなどが開発されていますね。
絵本作家で実業家としても有名なキングコングの西野さんは「お金とは信用を数値化したものだ」と言っており、この点とも合っています。
もちろん、「LIFE SHIFT」の著者が意図するように「無形資産は、お金には変えられない幸福感を与えてくれるもの」であることは間違いありません。
三つの資産、もう少しみていきましょう。
生産性資産:人間ならではの思考や感性
テクノロジーの進化は著しく、機械化により今後多くの仕事が奪われていきます。コロナウィルスの蔓延がこのスピードをさらに助長させます。
特に中程度の雇用の空洞化が進み、格差が拡大するとされています。
この流れに対して「模倣困難で、かつ機械(AI)に代替されにくい技術」が求められる一方、それでも一つの分野の専門技能だけでは、難しい時代になっていきます。
このような前提を踏まえて、特に重要なスキルとして三つの能力を掲げています。
- 新しいアイデアと創造性
- 対人スキルと共感能力
- 思考の柔軟性と敏捷性
AIではまだ難しいスキル・能力が多くを占めます。
また、上記三つのスキルを獲得するために、改めてリベラルアーツ(教養)を学ぶことの重要性を述べています。
教養?どういうことか?
書籍には、あまり詳しく書かれていませんが、
「政治経済、歴史、テクノロジーなどあらゆる知識を学ぶことで、新しい情報や環境変化があった場合にも、その知識を使って、情報・事象を客観的に分析・比較・検証し、新しい解釈を加えることもできる。その思考のベースとして重要」と理解しました。
実際のところ、常に新しい価値を生み出す人は、必ずと言っていいほど、教養が備わっているように思います。
生産性資産では「仲間の存在」も重要としています。
イノベーションは一人では起こせず、必要なのは強力な人間関係。自分の苦手分野を補う他者の知識・スキルもあり、決して自分一人でコントロールできるものではありません。
活力資産:やっぱり体が資本
活力資産とは「肉体的・精神的健康」によってもたらされるエネルギーと言ってもよいでしょう。
個人のスキルや知識は言うまでもなく重要ですが、それらを支えているのは、人間のココロとカラダです。食事・運動・睡眠といった健康面に配慮しないと、モチベーションを維持し、学びを継続することができなくなります。
特に気をつけなければならないのがストレスです。
ストレスが掛かり続けると意欲が落ち、学びの効果も仕事でも生産性が低下。イノベーションも起こせなくなります。
ですので、重いストレスが掛かる前に、取り除く方法(マインドフルネスやコーピング)を知っておくことが大切です。
変身資産:新しいスキルの「学び直し」が前提になる
変化の早い時代になると、残念ながら、既存のスキル・知識がすぐに通用しなくなり、それが精神面にも影響します。
まさに「生産性資産」が底をつき、「活力資産」が枯渇した状態です。
こうなると、お金などの有形資産とのバランスも崩れてきます。
「一つのスキルで一生食っていくのは難しい時代になる。そして多くの人間が学び直しの期間が必要になってくる。そのような意識を持ち、準備せよ」
このマインド自体が、変身資産と言えるでしょう。
まさに今、この状況が突きつけられているように思います。
変身資産には「多様性に富んだネットワーク」も含まれており、一つの会社・組織だけでなく、幅広い交流が「次の自分」を形作る上で重要になってきます。
以上、「LIFE SHIFT」をもとにした、「無形資産」の考え方です。
もともと書籍は、人工知能などテクノロジーの進化による産業の変化、長寿化の未来から、人間活動自体のパラダイムシフトの必要性を提唱したものです。
コロナウィルスの蔓延がこのスピードを早めたような気がします。
今のうちから無形資産を積み上げていけるかどうかによって、アフターコロナに大きな差を生み出すような気がしてなりません。