人間の仕事の半分がAIに奪われる……。
英オックスフォード大学でAIの研究を行っているオズボーン教授によると、米国において今後10年〜20年のうちに、今の仕事の47%がなくなると予想しています。
この手の話は、すでに多くのニュースや雑誌の記事で繰り返し取り扱われています。
実際に単純労働だけでなく、判断の伴う業務の一部をテクノロジーに置き換える動きが着々と進んでいます。
不安と期待が入り混じる未来。「多動力」で有名な堀江貴文さん、「現代の魔法使い」とも言われる落合陽一さんも「10年後の仕事図鑑」の中で、未来予想図を描くことに挑戦しています。
10年後の仕事図鑑
堀江さん・落合さんは未来の姿をポジティブに捉えていて、特に堀江さんにおいては、一貫して「自分の好きなことに没頭すればよい、幸せな未来」というメッセージを発信しています。
これは時代の先端を走っている者の余裕なのか?
10年後の仕事はどうなり、我々はどう生きていけばよいのか?
内容の一部を見ていくことにします。
10年後に消える仕事とは?
「10年後の仕事図鑑」の2章には、堀江さんと落合さんが、リレー形式で今後消える仕事、変わっていく仕事について予想していきます。
残念ながら、今ある仕事の多くは衰退していきます。
いくつか拾っていきましょう。
- 管理職
文字通り「管理するだけの」管理職は消えていく。ビジョナリーな経営者の下で、AIが仕事を割り当てる未来もやってくる。 - 営業職
お客さんをキャッチできる(フォロワーが多い)一握りの営業だけが生き残る。胡散臭い営業よりも、「嘘をつかない」「過剰な訴求もしない」AIが信頼される。 - エンジニア
食いっぱぐれないとされているエンジニアでさえも、最先端の技術を持つエキスパートを除き、将来的にはAIに代替される可能性がある。 - 弁護士・会計士・税理士・社労士など
法律や過去の判例に基づく判断は、AIの最も得意とするところ。淘汰される可能性が非常に高い。 - 銀行員
紙幣の需要がなくなり、仮想通貨での送金など、金融機関を介さないサービスが出始めており、銀行自体が不要になってくる。 - 書店・飲食店
従来の販売スペースとしての価値はなくなり、コミュニケーションの場として施策するなど、考え方によっては生き残れる。スナックは最強。
ここまで見ても、大抵の仕事がAIに代替可能。特にこれまで”上級国民”と考えられてきた、弁護士や銀行員でさえ一気に価値が落ちる未来を見ています。
これから伸びる仕事・分野
一方で、これから伸びる仕事はどのような仕事か。堀江さんが挙げたものは、いずれも「個人の趣味の延長」にあるものでした。
- こだわりのある個人経営のお店
大型チェーンは機械に代替される一方で、規模は小さくても個人がこだわりを持って営む店には、一定のフォロワーがつき楽しくやっていける。 - ドローン(操縦士)
すでにドローンを使った様々な実証が行われているため、今趣味でドローンで遊んでいる人が、ビジネスで大きな価値を持つ可能性がある。 - 予防医療
高齢化社会を迎える日本にとって、病気にならず健康を維持する予防医療に大きなビジネスのチャンスがある。 - ショービジネス
人間にとって興味のあることの一つが人間。Youtubeのように誰でも発信できるプラットフォームが盛り上がっており、「SHOWROOM」のように課金するシステムも誕生。
まさに一億総クリエイター。たとえ、近くの友人にウケないニッチな趣味や、自分だけのこだわりのお店でも、インターネットを介してファンを作れる時代。これまで価値のあった「消える仕事」と、嗜好性の強い「伸びる仕事」は逆の方向を向いていることが伺えます。
仕事を奪われる未来と、どう向き合っていくか?
今やっていく仕事はAIに奪われていく……。何とかしようにも、すぐに仕事をやめる決断もできず、不安に思う人は多いと思います。
堀江さん曰く、「どうせ未来のことはわからないし、ぶっちゃけ消える仕事の予想なんてしても仕方ない」というコメントをしています。
二人とも「AIやコンピューターに仕事を奪われる」という発想自体が問題で、AIを使う側に回るか、テクノロジーにのっかって(共存して)新しいものを生み出すことができれば、不安はないという立場です。
では、現実問題どうすればよいか。やはり副業でしょうか。
落合さんは、将来有望かつ興味が持てそうなことを、広く浅くやっていくことでリスクヘッジすべきと言っています。AIの登場により、昔ほど、一点集中で深く理解することのメリットは減っているそうです。
一方、堀江さんの意見は違っていて、リスクヘッジの「副業」は意味がない、自分のやりたいことに没頭せよと述べています。
この辺りは性格の違いが出て面白いところです。
他にも、これからの時代を生きる上での「お金」や「幸福」に対する考え方も同書では扱っています。
この本が発行された当初は、「本当にそんなに早く時代が進むのか」半信半疑なところがありました。しかし、誰もが予想しないコロナショック発生。働き方が変わり、テクノロジーの導入が急ピッチで進んでいます。
リタイアに向けて大企業という「豪華客船」に乗っていた人も、いつの間にか「泥舟」に変わっていたようなパラダイムシフトが足元で起こっています。
時代の寵児と言われる二人が描いた航海図を眺め、どちらに針路をとるか自分なりに考える一冊にしてはどうかと思います。
▶︎10年後の仕事図鑑