子どもが書く「読書感想文の書き方」を、指導する大人にわかりやすく解説できるだろうか?
他サイトにある「読書感想文の書き方」を読んだところ、とても勉強になりました。
しかし、同時に違和感もありました。
「書き方」だけ説明して、子ども達は本当に書けるようになるのか?
書けない子どもを前にして、書き方を説明するのではなく、少し遠回りでも、書ける/書けないというのはどういうことかを、指導する側が理解する方が良いと私は考えました。
今回の記事は、おそらく、他の解説にはない私流のアプローチで「読書感想文の考え方・書き方」になっていると思います。
読書感想文が書けないと相談されるお父さん、お母さん。一度読んでみてください。
*小学校高学年・中学生以上のお子さんが対象になります。
目次
読書感想文が書ける子と、書けない子の違い
まず書けない子は、なぜ書けないのか?
それを理解するために、書けない子代表として、私自身の少年時代を振り返りました。
思考をイメージできるように、簡単なイメージ図にしています。
本を読むのが嫌いだった私はなんとか1冊読み切り、印象的な「シーン」を切り取っては「面白かったこと」「すごかったこと」をそのまま感想文につらつらと書いていきます。
・主人公が○○○したところを読んで、自分にはできないと感じ、すごいと思いました。
・主人公は○○○できないと思ったのに、最後になってできたので、あきめないで頑張ることは大事だなと思いました。
こんな感じで、あらすじとショートコメントの羅列です。拙いですよね。
でも、当時の自分にしてみれば、これでも一生懸命だったんです。
一方、作文コンクールで賞を取るような子どもは、どういう読み方をするか。
こちらもイメージ図で表現してみました。
物語の中にいる著者や主人公の「行動や考え方」を見つめ、ハッとして気づきを得ます。
その気づきを自分の考えや行動と照らし合わせます。
中には、著者の姿まで見えていて、著者が伝えたいことまで思いを巡らせる子もいます。
自分の足りなかったことや新しい発見を、ストーリーや具体的なエピソードと合わせてまとめて、読書感想文として仕上げます。
書ける子は本を読み慣れているので、書き出しを工夫する文章力や、あらすじを簡潔にまとめる要約力も備わっています。
残念ながら、文章力を上げるには少し時間がかかります。
でも、文章にする前段階で違いが出ているのです。
「シーンごとの感想を列挙する」か「登場人物の行動・思考から気づき、自分への影響や心の変化を語る」か。
”読書感想”文とは言え、書ける子は、読んだ感想ではなく、自身と向き合う深さがあります。
大事なのは自分としっかり向き合うこと
ここまで見てきたように、読書感想文が書ける子と書けない子では、書く前に自分と向き合うかどうかに、大きな違いがあります。
例えば、物語を読んで「主人公の行動に勇気がある」と感じたとしましょう。
なぜそう感じたのか? ここで自分と向き合います。
「自分には勇気がない」なのかもしれないし、「そもそも勇気なんて、人生でそんなに必要ない」という正直な気持ちがあったのかもしれません。
けれども、この本に出会い、主人公の勇気に出会った。
「何でこの主人公は勇気を持てたのか」を考え、自分が同じ状況に立った時のことに思いを巡らせたり、過去のエピソードと照らし合わせたりします。
実はこれがなかなか難しいのですが、相手の気持ちに立ち、自分と向き合うことが良い感想文を書く感受性を育みます。
そして最後に、自分の気持ちや行動はどう変わったか。
「やっぱり私には主人公のような勇気は持てません。でも困っている人にちょっと声を掛けるなど、小さな行動はしていこうと思います」
こんな締めになっても、正直で前向きです。むしろストレートに「私も勇気がついた」なんて言われるより良い印象がありますね。
子どもにとってのちっぽけな気持ちの変化は、大きな成長なんです。
ここまでの例では掴みづらいかもしれないので、読書前から、読書後までの流れを時系列にイメージ図にしました。
本との出会いがあり、読んでいく時に「ハッ」とさせられ、なぜハッとしたのか自分に向き合います。
最後に、この本から得られたことを未来思考で書きます。BeforeとAfterでは、同じ子どもなのに、本一冊から感じた分だけ成長があります。
本という活字からも「感受性」を磨いていることがわかります。
読書感想文は「自分と向き合う」「感想文をまとめる」に小分けする
では、どうすれば自分の感じたことと内省を深く行い、読書感想文にまとめられるか?
「自分の感じたことや考えをまとめる」ことと、「読書感想文を書くこと」を分けて取り組ませた方が良いと私は思います。
自分の感じたことや考えをまとめる
良い読書感想文が書けない原因は、深く考えられていないことです。
ですので、いきなり原稿用紙に向かわせるのではなく、まずは、1枚の紙に次のような内容を具体的に書かせるとよいでしょう
- 登場人物の行動や考え方で印象に残ったこと
- なぜ印象に残ったか(自分の考え方との違いなど)
- この本を読む前と読んだ後でどのように変わったか
- 今後どのように生かそうと思うか
一気に「感想文」を書こうとすると、内省が飛ばされてしまい、あらすじとショートコメントの列挙になりがちです。
また、つい多くのことを書いてしまいがちなので、1枚の紙にまとめることで、何について深く書くかを考えることができます。
読書感想文を書く
1枚の紙にまとまったら、読書感想文として文章として書いていきます。
ここで問われるのは、文章力や要約力です。
文章や要約のわかりやすさは、客観的なチェックを繰り返して、少しずつ良くなるものです。
- 言いたいことを盛り込みすぎていないか?
- 文章の途中で違う話になっていないか?
- 1文が長く、主語述語の係り受けがわかりづらくないか?
- 誤字脱字や「てにをは」など文法の間違いがないか?
チェックするときは、作文が嫌いにならないように、「もう少しこうしたら良くなるよ」「わかりやすくなった!」をセットに。ネガティブフレーズ厳禁!で仕上げてください。
文章の書き方については、以下の記事も参考にしていただければと思います。
以上です。
私なりに、わかりやすく書いたつもりですが、ちょっと長くなってしまいました……。
今思うと、やはり「読書感想文」という言葉が良くないのかなと思いました。
(改善案を示せないのがつらいところです。)