以前の記事で、名著「ザ・コピーライティング」を元に、売れるセールスコピーの要素をまとめました(詳細はこちら)。
今回は、注目されないセールスコピーの問題点を知ることで、売れるセールスコピーの書き方を学ぶという主旨でまとめていきたいと思います。
ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則
セールスコピーとは、商品やサービスを売るときに、広告文で使われる見出しのことで、WebサイトやDM、通販での商品紹介もセールスコピーに含まれます。
テレビのイメージCMや、新聞に載る企業広告のコピー(イメージコピー)とは、少し趣が異なります。売るためのコピーです。
今回も「ザ・コピーライティング」の内容を参考に、独自の観点も交えながらまとめていきたいと思います。
目次
売れないセールスコピーの問題点とは?
売れないセールスコピーとは、ズバリ「売れるセールスコピーのセオリーに反しているもの」です。……と言っても、これは当たり前の話ですね。
「売れるセールスコピーの反対をしない」では学びがないので、失敗するときによくある問題を列挙して、少し詳しくみていきたいと思います。
具体的にどういう問題があるのか。売れないセールスコピーの問題点を挙げていきます。
- 読み手にとってのベネフィット(得になること)がない
- ネガティブなあおりが強く、ポジティブ要素がない
- セールスコピーと、イメージコピーを履き違えている
- 自己陶酔型のコピーになっている
それぞれについて解説していきます。
読み手にとってのベネフィット(得になること)がない
何らかの悩みや欲望を持った人が、見出しを見ただけで悩みを解決した姿や、欲望が満たされるイメージを抱けるのが良いセールスコピーです。
したがって、ベネフィットが含まれないセールスコピーは、読み手に伝わらず、スルーされる可能性があります。
例で見てみましょう。
A:自信があります。お金の悩みは、○○社のファイナンシャルプランナーに
この例は「相談」という行為が含まれますが、その後どうなるかのベネフィットがないため、一般的な表現になっています。自信があるのは良いと思います。ただし、20年の実績があるから自信があるなど、もう少し根拠があれば惹きつけられる表現になると思います。
次の表現はどうでしょうか。
B:このプランで、大勢の人たちがお金の心配をしなくて済むようになりました
「お金の心配をしなくて済む」というのがベネフィットが含まれています。しかも大勢。このように問題解決後の自分の姿がイメージできるのが、ベネフィットのあるセールスコピーです。
もう一つ、似たようなフレーズで見てみましょう。
C:15年後に退職する方法
D:どうすれば40歳の方が15年後に退職できるか
これはどちらも、「15年後に退職できる」というベネフィットを含みます。
Dのようにターゲットを絞った表現の方が、その人の自分ごととして捉えられ、より自分にあった解決策を期待できます。
実際に効果があったのは、Dのコピーのようです。
必ずしもセールスコピーにベネフィットを含める必要はないですが、ベネフィットを含める表現は王道中の王道です。
複数の候補を考えるときに、必ず一案考えるようにしたいものです。
ネガティブなあおりが強く、ポジティブ要素がない
不安を煽ることで注目を集められる一方、その不安を解消できなければ救いようがありません。ポジティブなニュアンスが含まれることで、詳細を読みたくなるものです。
E:あなたに勝ち目はほとんどない(ビジネストレーニング講座)
F:心配するばかりで、人生の楽しさを忘れていませんか?(生命保険)
どうでしょうか?
本文を読めば解決につながるのかもしれませんが、残念ながら解決に至る前に、読もうとは思いませんでした。
では、次のフレーズはどうでしょうか?
G:どうやって私は営業の失敗から立ち上がって成功したか?
ネガティブな煽りがあっても、ポジティブなフレーズで締めると効果的。ダメな人でも成功できる前向きな気持ちから、続きが読みたい気持ちのスイッチが入ります。ネガポジ変換は、読み手を惹きつける一つのテクニックです。
セールスコピーと、イメージコピーを履き違えている
テレビCMや新聞広告の雰囲気重視の表現に引きずられるのも、セールスコピーには、よくある失敗パターンです。
書籍コーナーで見かける、電通や博報堂のコピーライター(いわゆるクリエイター)の書いている本の多くがこのパターンです。
イメージ訴求や話題作りのコピーと、売るためのセールスコピーとは考え方が異なります。
製品・サービスを売るためのセールスコピーを書きたい方は、「ザ・コピーライティング」を読んでください。
自己陶酔型のコピーになっている
「僕たちはいつから夢を見なくなったのだろうか?」
例えば、こんなポエムのようなコピーでは、売れません。
美辞麗句を並べ立てたフレーズは、自己主張の表れであり、自己満足でしかありません。
セールスコピーを書くライターは、書き手としての自身の存在を一切消して、見込み客の悩み事や、欲求に寄り添う必要があります。
「ザ・コピーライティング」には、コピーライターを売り込む広告として、こんな悪例が紹介されています。
貫こうとして
堅固な岩に鏝(こて)の先をあてている、これが、よくある広告の現状です。
ただ「俺の表現力すごいぜ」という自己顕示欲が垣間見えてしまいます。
何も伝わりません。後に振り返ってみて、恥ずかしいと思うことでしょう。。
ここまで見てきた中で、最も効果的なのは「ベネフィット」を入れることだと思います。
セールスコピーは、短くするほど読みやすいですが、短くすることにこだわりすぎると、何も伝わらない表現になる可能性があります。
まずは、言いたいことを入れて、そこから凝縮しながら複数案を考えるアプローチが良いと思います。