GoogleやApple、AmazonなどGAFAと呼ばれる企業は、なぜ高い成果を出し続けるのか?仕事の考え方、やり方に大きな違いがあるはず。
GAFAを分析した書籍や記事は多いのですが、今回私の記事では、次の書籍を取り上げたいと思います。
世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか
タイトルにあるとおり、日々の仕事の改善につながるヒントがモリモリ書かれています。
著者のピョートル・フェリークス・グジバチさんは、ポーランド生まれで2000年に来日、ベルリッツ、モルガンスタンレーを経て、Googleで人材育成に携われていた方です。合気道や禅も関心があり、日本語もペラペラです。
日本の企業文化に理解を示しながらも、旧来の仕事のやり方から抜けきれていないところに疑問を呈し、効率的な仕事のやり方を推し進めた方です。
いくつか抜き出して、この記事にまとめてきたいと思います。
目次
Google流、成果を高める高速仕事術とは?
著者のピョートルさんは、仕事の成果を上げるためにたくさんの仕事をやることではなく、「無駄な仕事はせずに最短距離で成果を上げること」が大事だと考えています。
仕事のやり方を古い体質の日本企業と比較すると、Googleでは、次のような特徴があると言います。
- 打ち合わせを1回で終わらせる(問題を先送りしない)
- メールに時間を奪われない
- 企画会議にプレゼンはいらない
- 10倍の成果の目標に向けて、就業時間の20%を有効活用する
この箇条書きを見ただけで、大体内容はわかりますが、もう少し、考え方を含めて説明していきます。
打ち合わせを1回で終わらせる
ピョートルさんは、研修で他の日本企業の方と顔を合わせることがあるそうで、研修を通じて「生産性が低い働き方」と感じるそうです。
- 持ち帰って検討しすぎる
- 分析・検討しすぎる
- 打ち合わせ・会議など多くのコミュニケーションがコスト・ムダにしかならない
グサっと突き刺さる点はないでしょうか?
社内会議でも、お客さまとの打ち合わせでも、結局「内部で調整しまして…」「次回は誰々さんを呼んで議論しましょう」という結論になる。これ自体がムダ。
必要な決裁者や関係者が居なければ、その場で電話して確認するくらい徹底して、会議の生産性を高める必要があると言います。
根本的な問題として、ミーティング前に準備をしているか。
とりあえず集めて前進すればOKではなく、事前に次の点をチェックすべきと書かれています。
- 何のために集まるのか
- 何を決めるのか
- どんなアウトプットをしなければならないのか
- そこから何を持ち帰るか
何も意思決定できないコミュニケーションはすごくムダ。もし何らかの事情により「持ち帰る」必要があった場合でも、あらかじめ想定して効率よく臨むことが求められます。
「わからないときにどうするか」の想定を考えておくことも大事になってきます。
メールに時間を奪われない
Googleでは、コミュニケーションツールの中で「メール」は使用比率は高くないと言います。
一方で、コミュニケーションと意思決定の即時性を高めるために、チャットやビデオ会議、ファイル共有(GoogleDocs)を積極的に使っているそうです。
日本的なやり方では、誰かが資料をしっかり作成し、打ち合わせで説明。
資料に不備があると、そこで叩かれ大量の直しが入り、作り直しになることもよくあります。
しかし、Google流では、本当にざっくりとしたレベルで資料を作り、会議の席上で書類を共有。その場で仕上げます。
もし、あとで追加したい人が居れば、メールで頼むのではなく、その人が共有されたファイルにアクセスして、直接書き込んでいきます。こうすることで、無駄が省かれます。
iCloudやOffice365でも同様の機能がありますし、どの企業でも対応できることです。
企画会議にプレゼンはいらない
Google流では、何か新しい商品や事業を企画する際に、プレゼン資料を元に打ち合わせをするべきではありません。
このやり方は一人の考え方を全員に伝えているに過ぎず、アイデアはその資料で扱う範囲に留まり、参加者も評価する側の意識が働いてしまうためです。企画は全員が知恵を絞る「集合知」で取り組むべきで、それぞれのアイデアを発散し、掛け合わされるように設計されなければなりません。
また、企画で挙がったものを工作レベルの雑なプロトタイプを作り、短時間で試行する取り組み(スプリントと言うそうです)も、Googleでは積極的に取り入れているようです。
余談ですが、同じくGAFAの一角Amazonでは、会議にPowerpoint資料を使うことが禁止されているそうです。
10倍の成果の目標に向けて、就業時間の20%を有効活用する
ここまで、会議やメールなどでの作業のやり方を見てきました。 メールや会議で1日が終わってしまう方には、改善する上で、参考になると思います。
最後に、もっと突き抜けた「Googleらしい考え方」をピックアップします。
それは何かというと、Googleでは、「+10%の成果ではなく、10倍の成果を出すためにどうするか」を考えるそうです。
「10倍なんて無理!」と脊髄反射的に叫びそうになりますね。
しかし、目標を10倍に置くことで、従来のやり方の改善では到底難しいことがわかります。 そうなると、やり方自体を変えることを考えざるをえません。
この本では、高い成果を上げた例として「外国人によって日本人に外国語を教える」マネジメントをしている女性の話が書かれています。
簡単に書くと、外国語を教えるニーズが高まり、自分では抱え切れなくなったため、プログラムを終了するか考えたそうです。しかし、自分がやるのではなく管理自体を他の人に切り出し、その管理者をマネジメントすることにシフトし、高い成果を上げたそうです。
このときに、「やるべき仕事」をどう捉え、整理したかが書かれています。
Googleでは、就業時間の20%の時間で、自分の好きな仕事や自己啓発に使って良いそうです。
就業時間の20%が生み出せる原資は、今回まとめたような「8時間の仕事を5〜6時間で仕上げる」ような仕事術が大きく寄与しているでしょう。
最後の「語学マネジメント」の例も、この20%を使って仕組みを考え、協力者(管理者)もこの20%の時間を使って業務をしているそうです。
目先の仕事に忙殺されている状況では、イノベーションや新しい仕組みが生まれないことを象徴する考え方です。私は、この点が一番参考になりました。
「世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか」では、他にも人間関係、学び、疲れない仕事のやり方の工夫などが書かれています。何か一つでも参考になるところがあれば、読んだ価値は十分あると思います。
世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか