文章やプレゼンの内容を考えるときのセオリー「起承転結」。
「わかっているようで、実はよくわからない」という方向けに、以下の記事に私なりの解釈を加えてみました。
文章・プレゼンのストーリー「起承転結」とは?【わかりやすくイメージ解説!】
では「起承転結」は、本当に使われているのか?
実際にTVドラマや、ドキュメンタリーを当てはめてみると、いい感じにはまります。
今回は「起承転結」の理解を深めるために、具体的に、ストーリーのどの部分が起承転結なのか例を示し、最後にストーリーを考えるときの「起承転結」の有効性についてまとめたいと思います。
改めて「起承転結」とは
詳しくは以前の記事にまとめたのですが、簡単におさらいします。
起:登場人物の紹介、取り扱う出来事・事件の発生
承:出来事・事件の解決に向けたストーリーの展開
転:ひっくり返るほどのトラブル・困難
結:解決しハッピーエンド(時にバッドエンド)、オチ
基本的には、ストーリーは問題の発生から解決に向かいます。
問題の発生が「起」、解決が「結」。
問題を受けて、解決に向かう過程が「承」。
ただしストーリーは平坦に進まず、途中で壁となる逆境や反論を乗り越えなければならない。ここで立ちはだかる壁からの展開が「転」です。
また、起承転結における読み手(聞き手)の「感情の起伏」を下記イメージのようにまとめています。
オープニング後の課題発生から解決・エンディングに向かうまでに、興味・関心・感情の高まりが訪れる。
ここまでが、私の解釈での「起承転結」でした。
「○○殺人事件」に見る起承転結
よくある推理ドラマに見る「○○殺人事件」は、起承転結にうまくはまります。
起:殺人事件が発生。
主人公の探偵&引き立て役の刑事が登場する。
承:刑事も探偵も捜査開始。
刑事がいかにも怪しい人物を犯人に決めてかかる。
探偵も同じ人物を犯人として追っている(ように見せる)。
転:刑事が誇らしげに犯人を指名するが失敗。
途中で、探偵は最も怪しくないまさかの人物を犯人に指名。
その人物はアリバイがないと反論する。
結:探偵がアリバイを崩して終了。
このテンプレを意識してストーリーを作れば「名探偵コナン」が出来上がります(笑)
場面設定・登場人物を変えて、意外性のある犯人とトリックを変えていけば、安定した殺人事件ストーリー(?)になりそうです。
「刑事コロンボ」(←古い)のように、先に犯人を見せてしまい、意外性のあるトリックとアリバイ崩しで楽しませてくれるドラマもあります。
何を「転」とするかだけで、どちらも「起承転結」になっていそうです。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に見る起承転結
もう一つ。NHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で見ていきましょう。
ドキュメンタリーは、ドラマとは少し違いますが「起承転結」にはまりそうです。
起:プロフェッショナルの登場。どの分野のプロか紹介。
承:色々な案件を自身の流儀に沿って、巧みにこなす。
途中、流儀が生まれた元となる「若手時代の失敗談」が挿入される(伏線)。
現代に戻り、大きな案件に取り組む姿が映し出される。
転:取り組んでいる案件で、ひっくり返るようなトラブルが発生。
もう諦める寸前のところまで行き、思案に暮れる。
結:若手時代の教訓と自分の流儀とシンクロしながらも、立ち上がって問題解決。
「プロフェッショナルとは?」の質問に答えて締めくくる。
事件や問題ありきでストーリーが続くのではなく、ストーリーの盛り上がりとしての試練が「転」になっています。
よく見ると毎回同じテンプレなのですが、人間ドラマの面白さ&共感できるストーリーで観る人を飽きさせません。
ドキュメンタリーの中には、単に幾つかの事例を時系列で流すパターンもあり、その場合は「起承転結」で振り分けるのが難しくなります。
どのような場合に「起承転結」は有効か?
このように見ていくと、恋愛ドラマ、戦隊もの、SF…などあらゆるストーリーが「起承転結」にはまります。
特に、ある程度同じパターンでのストーリーをテンプレ化して作りたいときは、この枠組みは有効なように思いました。
その一方で、単純な「起承転結」で説明しきれないストーリーもあります。 例えば、アクション系の映画(「007」や「ミッションインポッシブル」)では、登場人物や状況の設定がなく、いきなり派手なアクションから始め、観る人の心を奪っていきます。
広く見ると「起」なのかもしれませんが、私には、短い「転」「結」を入れているようにも見えます。
また、映画「シックスセンス」のように意外性で終了するパターンもあります。今思うと「結」よりも「転」の方がしっくりきます。
起承転結はセオリーなので、作りやすくなる一方で、「型」にはまったストーリーが出来上がります。
もし、突き抜けたストーリーにしたいのであれば、「起承転結」に捉われるのではなく、感情のカーブを巧みにコントロールしながら、期待の流れを裏切るような仕組み・意外性を考えた方が良いかもしれません。