ある日突然、誰かの愚痴や、自分への不満が詰まったメールが飛んでくることはないでしょうか?
一緒になって上司の愚痴でスッキリできるならまだしも、文章でネガティブな言葉を浴びせられると嫌な気分になるものです。
正直面倒ですし、矛先が自分に向けば「何クソ!」と思うでしょう。
ただ、メールで感情的な返信をしても泥仕合が始まり、モヤモヤを増長させるだけ。
何時間もやり取りしたり、気分が悪いままその日を過ごすなんて……最悪じゃないですか?
無視したくても、今後も付き合いのある仕事仲間とかだと、そうもいかないでしょう。
うまいこと返信して早く終わらせたいところです。
今回はメールで不満や愚痴を投げかける相手に対して、どのように対応したら良いか、まとめていきたいと思います。
目次
最初に自分の感情をコントロール
相手をコントロールする前に、大事なことがあります。
それは、相手以上に自分が冷静になることです。
つまり自分自身をコントロールする必要があります。
人間誰しも喜怒哀楽の感情があるので、感情の乱れがあるのは仕方がないことです。
気持ちが揺れた状態は文章にも反映されるので、一呼吸置いて「感情が乱れた」自分に気付いてください。
個人的には、短い時間でマインドフルネスを行うことをオススメします。
目をつぶり、ただひたすら呼吸に意識を向ける瞑想をします。
……。
すると、モヤモヤした感情や自分なりの考え事が浮かんできてしまいます。
このとき、集中が切れたことに気づき、再び呼吸に意識を向けていきます。
違う感情が芽生えても、その感情を持っているのは自分です。
それに気づくことができれば、自身の力でコントロールできるのです。
ネガティブメールに対する返信(本文)の書き方
少し落ち着いたところで、メール本文を書いていきましょう。
(例)
あなたは、部下から「他の同僚への強い不満」を書いたメールで送られてきました。
あなたは「矛先の人に問題はあるものの、メールを送ってきた本人の考え方にも問題がある」と感じている(とします)。
このとき、メールを相手に書く最初の目的は「正論を吐いて納得させる」ではなく、「相手に共感を示して落ち着かせる」です。
回りくどいかもしれません。
しかし、押さえつけようとするよりも、自分で気づかせる方向に持っていった方が、多くの場合、早く理解(自省)と解決につながります。
この例をイメージして、メール本文の書くときの考え方を説明します。
最初は共感から入る
改めて、不満をメールであなたに送ってきた理由を、相手の立場で考えましょう。
- あなたに私の気持ちをわかって欲しい。
- 不満の対象への我慢がいよいよ限界に達して、自分を抑えられなかった。
- 私には解決できないから、あなたに解決して欲しいと思っている。
相手には余裕がなく「私」視点でしか考えていません。
このときにすることは、相手に合わせて、あなたも「私」視点で語るのではありません。「相手の気持ち」にいったん共感を示すことです。
「○○さんのメール、読ませていただきました。○○さんの気持ちから、私が考えていた以上に苦労をしていることがよくわかりました」
例えば、こんな感じです。だいぶ丁寧ですが。
もし、いきなり「あなたの(論理的な)考え」をぶつけてしまうと、相手がメールを送ってきた気持ちに応えず、信頼関係をつくれません。
冷静じゃない状態でのやり取りは、泥沼化につながる可能性があります。
また、考えなしに、矛先となる相手を一緒に責めることは共感になりません。
相手の感情をヒートアップさせるだけ。自省につながらないので注意が必要です。
あなたの話(経験談)は共感の後に
共感を示すために、早い段階で「私の経験談」を語ろうとする場合があります。
「私もかつて同じような経験がありました。……(以下略)」
この手法は、確かに効果的です。
ただし、あまりにも早く「あなた」を出そうとすると、読み飛ばされたのではないかと相手の気持ちが消化不良になります。まずは自分を押さえて、相手の話に意識を向けてください。
口語調の表現、語尾をうまく使う
メールは対面ではないので、表情やしぐさで感情を示すことができません。
ですので、メールの文面で「あなたの声」を聞かせる必要があります。
・そうなんですよね。
・確かに…。○○さんが考えていることは、なんかすごくわかります。
・うまく言えないんだけど、…
あえて、口語調にしたり、語尾を「です」を「ですよね」に変えたりすることで、人間味を付け加えています。
相手の名前(○○さん)を呼ぶのも効果的です。
ビジネス文書では、御法度とされているような表現でも、状況によっては相手の気持ちを沈める効果があります。
大人の自分を見せる
次は、気づかれないように「大人の自分を見せる」テクニックです。
相手に感謝したり、自分の至らなさを伝えたりすることで、相手に「大人でない自分」をそれとなく感じさせます。
・正直に伝えてくれてありがとう。
・上司である私が、こんな大事なことに気づかずに、○○さんに苦労をかけてしまったこと…これは私自身至らないところがあったと思います。
こんな風に言われたら、「いえ、そんなことないです。私こそ……」と言って(考えて)しまうものです。
最後は過去系から未来系に切り替える
相手が不満を持っているときは「私」にしか意識が向いていません。
また、表現も「○○しなかった」「○○をされた」といった過去形が中心になります。
共感は「過去形」を「現在形」で受け止めますが、最終的に解決に向かうには「未来系」を意識しなければなりません。
「ちょっと○○してみようと思う」「○○ではどうだろうか?」
というように、視点を前に向けることで収束に向かわせます。
ネガティブメールに返信するときに注意すること
ここまで書いてきたことで、ひととおり文面のテクニック・考え方を説明できたと思います。
意味としては同じですが、裏返して注意すべきことを簡単にまとめます。
- 感情が揺れている状態で返信メールを書き始めない。
- 共感せずに、冒頭から論理的に説き伏せようとしない。
- あくまで相手中心。自分を前に出さない。
- 無機質で、人間味のない文章を書かない。
- 過去(と現在)の話で終わらない。
あとは、書き終わったあとに、送信まで少しだけ時間を置いてください。
もう一段、冷静になって文章に問題がないかチェックしていくとよいでしょう。
以上、私が使っている心理を操る文面テクニックでした。 全部必須ではないので、使えるものがあったら、取り入れてみてください。