マネジメントスキル

成果を出すサーバントリーダーシップとは?【リーダーの型】

投稿日:2020年5月21日 更新日:

「ぶっちゃけ出世するリーダーはどんなタイプのリーダーなのか?」

組織によって風土や文化もあるし、上司との関係性次第で決まる部分もあるので、明快に答えを出すのは難しいでしょう。
では、次のような質問はどうでしょうか。

「チーム力を高め、成功に導くリーダーは、どんなタイプのリーダーなのか?」

これに関して言えば、近づく方法があります。
「サーバントリーダーシップ」を理解し実践することです。

サーバント?

Servantでググると「召使い」「使用人」という訳が出てきます。
ということは、メンバーの下について指示に従うようなリーダー?
……リーダーという言葉に相容れない感じもしますね。

サーバントリーダーシップは、1970年に同名の書籍により知られるようになったリーダー像で、きちんと理解すれば、チームの成果を高め、メンバーの信頼を勝ち取る強い力を持っています。

この「サーバントリーダーシップ」についてみていくことにします。


サーバントリーダーシップとは

サーバントリーダーシップは、今から50年前にアメリカのロバート・K・グリンリーフが提唱し、チームメンバーに対する「奉仕」をリーダーの本質として捉えたリーダー像です。

サーバント(Servant)の意味の中でも近いのは「召使い・使用人」ではなく「奉仕」。
チームに対して、リーダーとしてミッションは共有するものの、そのミッションを自ら先導するのではなく、チームメンバーに委任して後方支援します。
このことからも「委任型リーダーシップ」とも「支援型リーダーシップ」とも言われるようです(私は「委任型」の方がしっくりきます)。

イメージにするとこんな感じです。

従来のリーダー像は、率先垂範でメンバーに指示を出すような力強さ・頼もしさがある一方で、サーバントリーダーシップは任せて後方支援。少し頼りない印象があるかもしれません。

しかし、リーダーが脇役に徹し、チームの成功はメンバーの力にあると信じて任せることで、一人ひとりのモチベーション、チームの協調性が生まれます。

メンバーの声に耳を傾けながら、最後に”成功させる”ことができれば、一人ひとりに自己効力感がうまれ、さらにはリーダー自身の信頼を高めます。
このように恐ろしいほどの効果を持つのが、サーバントリーダーシップなのです。


サーバントリーダーシップは、成熟したリーダーのスタイルである

リーダーシップのスタイルには、大きく従来の「先導・指示型」「指導・コーチ型」、そして「支援・委任型(=サーバントリーダーシップ)」の3つに分けられます。これは部下の育成の型とも言うことができます。

かつての日本海軍連合艦隊司令長官・山本五十六の有名な言葉、
「言ってみて、やって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」
に合わせてみると分かりやすいと思います。

言ってみて     : 先導・指示型
やって聞かせて   : 指導・コーチ型
させてみて(褒める): 支援・委任型(サーバントリーダーシップ)

つまり、サーバントリーダーシップは、最も成熟したスタイルと言えます。
サーバントリーダーシップを取ることは、次のリーダーを育てることで「仕組みづくり」をしています。
逆に、いつまでも同じメンバーに、指示するスタイルを取っているということは、育成を行わず、仕組み作りをしていないことになります。

ただし、新人など未熟なメンバーの集まりであれば、いきなり成熟したスタイルを取ってもうまく機能しません。
リーダーシップのスタイルはどれが合うか・良いかの一択ではなく、状況に合わせて使い分ける必要があります。

最終的にめざすところがサーバントリーダーです。


「できる人」はサーバントリーダーに抵抗を感じやすい理由

技術力が高く、一人で何でも仕事ができてしまう人は、サーバントリーダーになれず、個人としては高い成果を出すものの、チームリーダーとして高い成果を出せない場合があります。
それは次のような思考・プライドがある(傾向がある)からです。

  • 自分がやった方が早いし、うまくいく。認められる。
  • 誰かに任せてトラブルが起こったら、自分が埋め合わせをさせられる。
  • メンバーは悪い人ではないけれど、仕事を任せるほど信頼できていない。

自分一人で2倍、3倍の仕事をできてしまい、大量の仕事が集まるタイプ。
上司からも一目置かれます。でもチームとしての成長・結束がないので、ずっと同じ状況が続きます。

サーバントリーダーになるには、どこかで成功の手柄を取らせる「懐の広さ」と、誰かに任せたときに発生した問題に責任を負う「覚悟」を持たねばなりません。


以上、サーバントリーダーシップについてまとめました。
サーバントリーダーシップは、50年前に発表された概念でありながら、いまだに強く生きています。それだけ素晴らしいものだと言えます。
他のリーダーを引き上げ、仕組みをつくるサーバントリーダーシップ。
こういったリーダーが出世している組織は、成長力の強い組織と言えるでしょう。

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